【IGPIパートナー、塩野誠氏が語る!#2】外資系投資銀行の仕事とキャリアパス
みなさんこんにちは。
シティバンク、ゴールドマンサックス、べイン&カンパニーなど数々の外資系企業を渡り歩き、旧ライブドア証券では取締役副社長を務めたという経歴を持つ、
現IGPIパートナー兼マネージングディレクターの塩野誠氏に、
外資系企業の実態についてご寄稿いただきました!
全3回に渡り、コンサルティングファームと外資系投資銀行について語っていただきます。
第1回:【IGPIパートナー、塩野誠氏が語る!#1】コンサルティングファームの仕事とキャリアパス
筆者紹介:
塩野誠 経営共創基盤(IGPI) パートナー/マネージングディレクター
シティバンク、ゴールドマン・サックス、ベイン&カンパニー、ライブドア証券(現かざか証券・取締役副社長)等にて国内外の事業戦略立案・実行、M&A、資金調達、ファイナンシャルアドバイザリー業務に従事。企業経営者に危機管理やメディア対策についてもアドバイスを行う。政府系実証実験の採択審査委員等を務め、企業幹部向け研修や国内外において講演を行っている。
東洋経済オンラインでキャリア相談「君の仕事に明日はあるか?」を連載。
慶應義塾大学法学部卒、ワシントン大学ロースクール法学修士
投資銀行とは何か?
投資銀行という名称は英語の”Investment Bank”から来ており、日本における業態としては法人向け業務を行う証券会社になります。
ここではそうした業態を投資銀行と呼ぶことにします。
投資銀行は法人向けの証券業務を行っており、法人つまり顧客は企業や機関投資家(生保、損保等の資産運用を行っている会社)となります。
投資銀行の業務は大きく二つに分かれます。
企業を顧客として資金調達やM&Aのアドバイスを行う投資銀行業務、
もう一つは株式市場や債券市場で流通する証券を機関投資家向けに売買したり、自社(自己勘定)のために売買したりするマーケット業務です。
また、実際に利益を稼ぐ営業を行っている部署をフロントオフィス、営業をサポートする部署をバックオフィスと呼ぶことがあります。
投資銀行は銀行とは異なり預金を集めて企業に貸し付けるということはしません。
投資銀行業務において企業の資金調達を行う際には、企業が証券(株式や債券)を発行し、その証券を投資家が購入することによって資金を集めることが出来ます。
投資銀行はその証券の発行を業務としているのです。
こうした新たに発行される証券の市場のことを「プライマリーマーケット」と呼び、
発行が終わって流通している証券の売買がされる市場を「セカンダリーマーケット」と呼ぶこともあります。
イメージしやすいM&Aや証券発行といった投資銀行業務は一般的な企業にとって、そうそうあるものではないイベントです。
そのため投資銀行は日々、企業に対してM&Aや証券発行の提案を行っており、当たると大きい報酬が得られる狩猟民族型の仕事や企業文化になり易いとは言えます。
各投資銀行の実力についてはトムソンロイター社の発表しているリーグテーブルやブルームバーグ社の発表しているランキングをインターネットで参照すると良いでしょう。
投資銀行のキャリアパス
投資銀行は通常
- アナリスト
- アソシエイト
- バイスプレジデント(VP)
- マネージングディレクター(MD)
といった社内ポジションに分かれています。
呼び方は米系と欧州系で少し異なることもあります。
新卒で入るとアナリストとなり3年くらいでアソシエイトとなります。
よく混同されがちですが、株式調査部の「アナリスト」とは違いタイトル(職位)のアナリストのことを指しています。
またMBA取得後に入社してくる人はアソシエイトからタイトルが始まります。
新卒でアナリストとして入社すると初任給は600~700万円程度で、
アソシエイトになるとボーナス込で1500~2000万円程度となりますので、
給与面においては戦略系コンサルティング会社より高い設定となっており、
マーケットサイドで非常に業績が良い場合は30歳過ぎのVPでも3000万円~と上限は業績に連動して高くなっていきます。
コンサルティング会社ではこうした業績に連動した幅は小さく、タイトルごとに給与レンジは決まっています。
アナリストからアソシエイトになる間に、やはり仕事が合わずに他の業界に移ったり、
昇進出来ずにレベルを落として他社に移ったり、MBAに行ったりということがあり、かなり同期が減ります。
投資銀行では自分の実力というよりも、景気の動向によって大幅なリストラが行われることがあります。
特に外資系では本社の意向でリストラの人数が通達され、自動的に人員削減が行われます。
新卒で入社し、まだ何も出来ないうちにリストラにあった場合、
日系一流事業会社に転職することはなかなか難しいのが現状です。
また、順調に昇進していったとしてもマネージングディレクター(MD)になるのは良い市場環境と実力が揃わないと難しいものです。
編集者より:
いかがだったでしょうか。
どうしても給与の高さ(30歳過ぎで3000万円!)などに目が行ってしまいがちですが、
職位や業務、リストラなどの特色やレベルを落として転職する人の話など、普段はあまり聞けない大事なことが詰まっている内容ですね。
次回、最終回はコンサルティングファームと外資系投資銀行の違いと共通点について語っていただいています。こちらも、お見逃しなく!